こち亀シリーズ第7弾です。
これまで、佐賀県が誇る伝統工芸「諸富家具(リンク)」「有田焼(リンク)」や、西九州新幹線開業に沸く武雄市の「武雄温泉(リンク)」「西川登竹細工(リンク)」「弓野人形(リンク)」を取り上げました。
今回のテーマは、佐賀県が誇る伝統菓子「小城羊羹」です。
日常が描かれたこち亀には羊羹も登場し、これはもしや小城羊羹なのでは!? と感じさせるシーンもあります。
そこで本記事では、両さんの好みをふまえた小城羊羹の特徴を紹介しつつ、お菓子を地域ブランドとして育てていくヒントについて探っていきます。
それでは早速みていきましょう。
地域ブランド「小城羊羹」を想起する ”らしさ” は、表面のカリカリにある!?
- こち亀概要(コミック第67巻「哀愁の星逃田の巻」)
警視庁の刑事・星逃田(ほしとうでん)が久々に派出所を訪れるも、両津達はなんの反応も示さずに日常を過ごす。そして皆で羊羹を食べることとなる。マリアが羊羹を切ろうとするその時、両津は星逃田を無視し続けるとともに、好みの羊羹部位についてコメントを発するのであった。
コミック第67巻 P110 より引用
久々に来訪した星逃田を無視し、両さんは「ガリガリした所がおいしいんだ」と言い、その後羊羹を味わっていきます。
ガリガリした羊羹といえば・・・そう。小城羊羹ですよね。お店によって様々な小城羊羹がありますが、例えば村岡屋さんの「昔風味の小城羊羹」は表面が白く糖化しており、シャリシャリッとした食感を楽しむことができます。
端っこであれば糖化している表面積が比較的大きく、尚更 ”シャリシャリ感” を味わうことができそうです。両さんが好むのも頷けます。
ところで、この事例のように食感(触覚)に訴求することは、ブランディングの観点からはどの様な期待が持てるでしょうか。
ブランディングの効果として『「羊羹といえば小城羊羹」と、羊羹分野において真っ先に小城羊羹を思い出してもらえるようになる』と定義したとき、食感(触覚)はどう影響するのか?
思い出してもらう要因として、味は勿論の事、商品の名前、見た目、お店の名前や雰囲気・・様々な情報があるかと思います。しかしどの羊羹屋さんの羊羹も基本的には美味しいので、味だけで甲乙つけるのは難しいことでしょう。
そんなときに差別化を図る一要素として有効なのが「食感(触覚)」です。
桜月堂「こつぶたちようかん」。カリカリが病みつきになります。
仮に味によって他社製品と差別化が図れなかったとしても、切り分けるときの「カリカリッ」とした触感、そして「シャリシャリッ」と食べる羊羹体験に特徴があれば、私達消費者の記憶に残りやすいためです。
私も過去にお土産でもらった小城羊羹を食したとき、「シャリシャリで美味しい!この素敵羊羹を誰かに教えたい!」という気持ちになりました。
お菓子においては「味覚」や「視覚」が勿論重要ですが、マーケティングの観点からも、より消費者の知覚を奪うべく「触覚」への訴求も検討してみるのはいかがでしょうか。そうすれば「ガリガリした所がおいしいんだ」と言って愛着を持つ両さんの様なお客さんを増やすことができ、ブランドを育てることにも繋がるかもしれません。
マーケティングとは商品の戦いではなく、知覚の戦いである。
マーケティング22の法則 -アル・ライズ/ジャック・トラウト共著, 東急エージェンシー, 1994年, P37
地域ブランドの名前は「地域団体商標」で保護:佐賀県「小城羊羹」
ところで佐賀県の伝統菓子「小城羊羹」は、その名前が「地域団体商標」として登録されています。歴史ある「小城羊羹」について羊羹分野で不正に使用されることがないよう、商標権にて保護をしているのです。
商標登録第5065356号
歴史溢れる地域ブランドについては、ブランド力に便乗したい第三者が同じ名前を使用したくなるものです。その様な場合に備えて大事な名前を保護すべく、商標権の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
地域団体商標の概要や取得のメリットについては特許庁HPをご覧ください。
地域団体商標制度とは|特許庁HP
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