(前回 からの続き)
引き続き、こち亀を参考にしてみましょう。今回は、地域団体商標の使用方法以外に、地域ブランドを育てるための「取り組み」について考えていきます。
2. 組合員が力を合わせ「オール諸富家具」として新たな価値を創出
- こち亀概要(コミック第182巻「がんばれ!町工場の巻」)
不況下で厳しい環境にある町工場の再生を任命された両さん。「下町の町工場の技術はあなどれん!」として、各社技術を結集させた「電動カー」を発案する。そして「葛飾微細工場団体」として、驚異的な速度で中国やインドの市場へと進出していくのであった。
コミック第182巻 P112 より引用
町工場の技術で電動カーを生産し、持ち前の馬力や強引さによって海外へと進出・・こち亀だからこそ実現するお話かもしれません。しかし本エピソードには、伝統工芸等の組合にとって重要な示唆が含まれています。
それは「それぞれの持ち味を結集して新たな価値を創出する」という点。
前回紹介した通り、地域団体商標の活用によって相互に信用を蓄積していくことは非常に重要です。しかし、組合員は別々の事業を行っていることから、一致団結(*)しにくい状況が考えられます。
(*) 一致団結していたとしても、その旨を対外的に認知されにくい。
そこで、こち亀です。皆で技術等を結集して「オール諸富家具」として新たな価値創出を行えば、ブランド力向上の一助となるでしょう。「諸富家具振興協同組合」は、家具屋さんだけでなく、木材加工屋さん、木工機械屋さん、卸問屋さんなど様々な組合員が加入しており、その強みを活かした価値創出が考えられるかもしれません。
そして普段とは異なる製品・サービスを手掛けることができれば、日頃はお付き合いのない市場にも「諸富家具」をアピールすることができ、更なる認知度向上にも繋がることでしょう。
ここで、別のこち亀ネタを参考にしつつ、協働の一案を紹介します。
一案:木をふんだんに活用した諸富家具タウン~ノスタルジックな趣きを提供~
- こち亀概要(コミック第136巻「亀有レトロタウンの巻」)
商店街の町おこしについて相談を受けた両さん。「都会のマネして対抗しようとしても絶対かなわん!」と言い放ち、逆の発想として「タイムスリップ」を提案する。タダで集めた古い電話ボックス・郵便ポストを設置したり建物外観を木造にするなど、町内会をレトロに変身させるのであった。
コミック第136巻 P32,33 より引用
木は多くの人にとって「安心感」がある存在であり、例えば建物の外観に使用されることで、町全体のイメージにも関わってきそうです。右ページ下部に「外観を木にするとイメージ変わるな」とのコメントもあります。人が受ける情報の8割は視覚からという説がある(**)ことからも、見た目は心証に大きく影響するのでしょうね。
外観という観点において、木の活用可能性が大いに残されていると言えるのではないでしょうか。
(**) 「視覚は人間の情報入力の80%」説の来し方と行方|筑波技術大学テクノレポート Vol.25 (1) Dec. 2017
こち亀の様に商店街を全て改装しなくとも、
- 1軒のカフェにて諸富家具の製品を活用する
- 諸富家具の世界観を体験する ”諸富ブース” を佐賀駅や市役所に設置
- ”諸” 々の人の ”富” という、諸富をテーマとしたアート作品を手掛ける
等を検討してみるのもよいかもしれません。
次回は、伝統工芸の「伝承」に関するアイデアについて紹介します。勿論、こち亀を参考にします。お楽しみに。
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(2022年10月7日更新)
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